前立腺がん(PSA高値)について
前立腺がんとは
前立腺がんは男性特有のがんで50歳以降に発症、特に高齢男性に多くみられます。
早期には自覚症状がないことが多く、進行すると排尿障害や血尿、骨への転移による痛みなどの症状が現れることがあります。
前立腺がんは進行が比較的ゆっくりで、早期に発見されれば治療によって十分に治癒が期待できます。そのため、定期的な検査による早期発見が非常に重要です。
前立腺がんの診断と検査方法
以下のような検査を組み合わせて診断を行います。
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PSA検査(血液検査)
前立腺がんのスクリーニング検査として有効です。PSA(前立腺特異抗原)は前立腺から分泌されるタンパク質で、がんや前立腺肥大、炎症でも上昇することがあります。 -
直腸診(DRE)
医師が肛門から指を挿入して前立腺の硬さや形の異常を確認します。 -
前立腺超音波検査(経直腸エコー)
超音波で前立腺の大きさや内部の異常をチェックします。 -
MRI検査
前立腺のがんの位置や広がりを詳しく見るために行います。生検の位置を決める参考にもなります。 -
前立腺針生検(生検検査)
がんの確定診断には、前立腺の組織を一部採取して顕微鏡で確認する必要があります。
年齢別PSA基準値の目安(ng/mL)
年齢 | PSA基準値(ng/mL) |
---|---|
50~64歳 | 3.0以下 |
65~69歳 | 3.5以下 |
70歳以上 | 4.0以下 |
※この基準値を超えると必ずしもがんというわけではありませんが、前立腺生検などの精密検査が考慮されます。
前立腺針生検とは
前立腺針生検は、前立腺がんの確定診断のために行う検査です。当院では「経直腸法(肛門から)」で行います。局所麻酔を使用し、超音波で前立腺を確認しながら10~12か所に細い針を刺して組織を採取します。検査時間は20~30分程度ですが、前後に抗菌薬を投与して感染予防を行います。
前立腺がんの治療法
患者さんの年齢やがんの進行度、全身状態などをふまえて適切な治療を選択します。
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経過観察(積極的監視療法)
進行が非常に遅いと判断される場合、定期的にPSA検査などを行いながら様子をみます。 -
手術療法(前立腺全摘除術)
がんが前立腺にとどまっている場合に行われる治療です。開腹手術またはロボット支援手術で前立腺を摘出します。 -
放射線治療
身体の外から照射する「外照射」と、前立腺内に放射線源を埋め込む「小線源療法」があります。 -
ホルモン療法(内分泌療法)
男性ホルモンの作用を抑えることでがんの進行を抑えます。進行がんや再発時に用いられます。 -
化学療法(抗がん剤)
ホルモン療法が効かなくなった場合に選択されることがあります。
前立腺がんは早期発見・早期治療が可能ながんの一つです。特に50歳を超えた男性は、定期的なPSA検査をおすすめします。
異常を指摘された場合には、泌尿器科での専門的な検査と判断が重要です。
気になる症状がある方や健康診断でPSA値が高かった方は、早めにご相談ください。